歴史ある大阪日伊協会の会長就任に際し、会員の皆様にご挨拶申しあげます。
ここ2年ほどコロナ禍の影響を受け社会全体のオンラインシフトが進み、多くの人がリアルイベントから遠ざかってしまいました。当協会の活動にも制限が加わり十分な活動が行えない状況が続きましたが、その状況下で前会長は「感染収束の暁には速やかに活動を再開させ、交流の場を設営します」と力強いメッセージを出されていました。バトンを引き継ぐ身としては、感染状況を注視しながら年4回の「インコントロ」開催を目指し、日本とイタリア両国・両国民の相互理解と親善を深める機会を設けていく所存です。
イタリアは私の好きな国の一つです。
きっかけは「ルネサンス絵画」です。なぜルネサンスかというと、子どもの頃、新聞だったか雑誌だったか忘れましたが、当時の歌舞伎役者・尾上松緑さんがイタリア観光に行って史跡や文化を巡り「全部、耶蘇じゃねえか」と言った記事を読んだことによります。「ゼンブ、ヤソ」という、なんとも不思議な言葉が頭にこびりつきずっと気になっていたのです。
その後学生時代に西洋の文学や哲学などに触れたとき、どうしても避けて通れなかったのがキリスト教でした。勉強のため聖書を読み、いろいろなエピソードに興味を覚えました。いろんなエピソードを庶民に理解させるために絵画は発達したとされ、その一つの頂点が「ルネサンス絵画」だと知れば知るほど聖書の物語絵に深く興味を覚えました。受胎告知の数々、ガブリエルやマリアの様々な表情や仕草。人々の想像の世界に触れる、その面白さ。
私は松緑さんのように江戸っ子ではありませんが「全部、耶蘇じゃねえか」から始まったイタリア文化への“興味の種”は、「全部、おもしれえじゃねえか」と言えるまでに成長しています。
今回、大阪日伊協会に関わることで、これまで以上にイタリア文化に触れる機会が増えることを楽しみにしています。
日本とイタリアは国交樹立から150年を超え、近年さらに両国の距離は近くなっています。
そのなかで創立66年を迎える大阪日伊協会の存在は益々重要なものとなるでしょう。
大阪発のインコントロ(出会い、巡り会い)を通じて、会員の皆さまにはイタリア文化を堪能していただき「全部、おもしれえじゃねえか」と感じていただけるよう、努めてまいります。
今後ともますます日伊の国際交流が盛んになりますよう、会員皆さまからの絶大なるご支援ご協力を心よりお願い申しあげます。
2022年5月
大阪日伊協会会長 沖中 進